みんな!クローズドサークルは好きかね?
おれはいっちゃん好き!お前が一番!お前が一番!お前が一番!クローズドサークル!!!
は?????
どうも、サウナ探偵ですよ。
クローズドサークルはみんな好きだよね。閉ざされた雪の山荘なんか3度の飯より大好きだよな?
クローズドサークルみてえな名前しといて全然クローズドサークルじゃねえ小説があんだよ。許せねえな?そう思わねえか?
俺は叙述トリック以外に弄ばれるのは大嫌いなんだよ。
その小説は「ある閉ざされた雪の山荘で」って話なんだ。
まんまじゃねえかよ。
まあ、まずはあらすじをチェックしてみてくれ。
あらすじ
早春の乗鞍高原のペンション『四季』では、演出家の東郷陣平によってオーディションに合格した劇団員の男女7人が集められた。これから、豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇という設定の舞台稽古が始まろうとしていた。不審に思いながらも、7人はその劇を続けて行くが、本当に仲間の1人が消えてしまった。残された6人は疑惑を抱き始める…。「本当にこれは芝居なのか?」
引用元:講談社文庫
著者について
東野圭吾 - Wikipedia
著者は東野圭吾氏。
本屋に行くと東野圭吾エリアはバカでかい。日本を代表する作家というイメージ。第31回江戸川乱歩賞、第134回直木三十五賞などの受賞歴がある。
「白夜行」「容疑者Xの献身」などが代表作なのかな?俺は未読だ。
氏の作品は「仮面山荘殺人事件」が書評サイトによく出てくるので読んだことがあるのみ。本記事の「ある閉ざされた雪の山荘で」も書評サイトでよく見かけるので積んでた。
その「ある閉ざされた雪の山荘で」の話に入る。
全然雪の山荘じゃねえ
全然雪の山荘じゃねえ。
なんなら完全に快晴という謎の状況。は?読む本間違えたかよ?とミステリ好きの諸氏は思ってしまうかもしれない。
本作の面白いところはここなのだ。
全然クローズドサークルじゃねえの。なのにタイトルは「ある閉ざされた雪の山荘で」。は?どういうことだよ。なんなんだよ?投げるぞ。
山荘といえば、吹雪、交通の遮断、電話線の切断、外部との連絡が閉ざされたクローズドサークルで殺人が起こると相場が決まっている。
雪、降ってない。
道、生きてる。
電話、使える。
全然クローズドしてねえのな。
これがどういうカラクリかっつーと、平たく言えば、「劇団の演出家から、吹雪の山荘を想定した舞台稽古をしろと命じられた状況」なんだな。
だから人がいなくなっても全員危機感がない。
久我くん、何モン?
物語は、メインの三人称視点描写と、部外者久我くんの一人称視点を交互に進む。
久我くんは集まった7人の中で唯一、劇団「水滸(すいこ)」の正式な劇団員ではなく、純粋にオーディションで選ばれた次回作メンバーa.k.a.期待のホープ。
劇団のメンバーの1人、スーパー美人女優の元村由梨江と結婚するためにオーディションで合格を勝ち取った上昇志向ドリームズカムトゥルーマン。
コイツがなかなか鋭い。メイン視点とは別に一人称視点を与えられてるだけある。バカっぽい奴は心でバカにし、利口な奴には敬意を示す。
事件の初めから色んなことに密かに気づき、全体に共有する情報を吟味する。人を騙す。
でも久我くんの一人称パートがあるあたり、コイツが犯人じゃなさそうということは確からしい。ノックスの十戒である。
で、お前は何モンなんだよ。
みんなでワクワク推理大会
みんなお芝居だと思ってたけど、2日目の被害者が出た後に血のついた凶器がみつかると普通にビビり出す。
これも演出じゃないの?いや本当の殺人だ!いやいやそう思わせるための演出でしょ、いやいやいやそう思わせるための犯人のトリ以下無限ループ。
本当の殺人だと思い込んで狂乱する者、演出家先生の悪ふざけ舞台稽古だと信じたくて仕方がない者。それぞれの人物の揺れ動く脆い感情が見どころである。
実際のところは読者にも最後までわからない。あーだまされちまったよ。だーまされたー。
みんなも絶対にだまされてくれよな!
まとめ
「ある閉ざされた雪の山荘で」、ドストレートなタイトルとは裏腹に、かなり捻りのあるミステリだった。
すべてが判明してから読み返すと、なるほど全編を通してヒントしかないことに気づかされる。
久我くんパートに囚われすぎると足すくわれるぞ!
300ページ以下ですぐ読めちゃうので読むのが遅い人にもとっつきやすい。
「ある閉ざされた雪の山荘で」がおすすめな人
・寒さに弱いので雪の山荘はちょっと…
・一味違うクローズドサークル欲
・「仮面山荘殺人事件」が面白かった人
おわり。
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