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【変身/東野圭吾】感想 アイデンティティとは?に物質的観点から切り込んだ疑似科学の傑作



脳をどこまで入れ替えたら、俺は俺のままでいられるのだろうか。


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サウナ探偵じゃよ。

親父の本棚から東野圭吾をパクってきた。親父、東野圭吾のオタクなので東野圭吾が50000冊くらい本棚にある。

そこから選んだ一冊が「変身」だ。

アイデンティティとは何か?という定番のテーマに鋭い切り口から攻めた一級品のサスペンスミステリーだったのでご紹介。






あらすじ


世界初の脳移植手術を受けた平凡な男を待ちうけていた過酷な運命の悪戯! 脳移植を受けた男の自己崩壊の悲劇。

平凡な青年・成瀬純一をある日突然、不慮の事故が襲った。そして彼の頭に世界初の脳移植手術が行われた。それまで画家を夢見て、優しい恋人を愛していた純一は、手術後徐々に性格が変わっていくのを、自分ではどうしょうもない。自己崩壊の恐怖に駆られた純一は自分に移植された悩の持主(ドナー)の正体を突き止める。
引用元:講談社文庫

作者について

東野圭吾。
説明の必要ねえな。日本を代表する小説家やね。

本題に入るよ。

アイデンティティとは?


アイデンティティ(自己同一性)とは何か?と問いかける作品は世の中にたくさんある。

環境や他者に影響を受け、挫折を経験し、成功を手にし、失う。アイデンティティは常に、追求され、獲得され、維持され、そして喪失されるのだ。
というか世の中の物語は全部これだ。


そんな定番テーマの中でも本作は異彩を放つ。

なぜならば移植された脳片に、元の人格が乗っ取られていくという物語なのだ。

挫折や苦難じゃない。モロ物理。パワー設定。

脳のほんの一部が入れ替わっても俺が俺であることは変わらない。でも入れ替わる割合が50%、99%になってもそれは俺と言えるのか…?

そんなアイデンティティとは何か?という問いに物質的な観点から殴り込みをかける傑作疑似科学小説、それが「変身」だ。


脳、移植しちゃったよ



つってもほんの一部だけど。

不動産屋に行って、「は?家賃たっか、払えるワケねえだろタコ、なんとかうやむやにしてさっさと帰っぞ」とか考えていたら、死んだ魚の目をした男が拳銃持って入ってきて強盗騒ぎ。

女の子が打たれそうになってとっさに庇う主人公成瀬純一。頭を打たれて死亡。

目が覚めたら病院。知らない、天井。あなたは世界で初めて脳移植を受けた患者なんです。まじでか。

どうやら右脳の一部が移植されたらしいってワケ。ただ人格や記憶はまるっきりそのまま。


徐々に自らが変わっていく恐怖


温厚で物静かな絵描きの青年、成瀬純一くん。なんだか日に日に違和感を感じる。

絵が描けない。愛していた彼女を愛せない。他人が全員バカに見えてくる。勤勉でないものは、存在する価値がない。

物語全編を通して徐々に変わっていく性格。温厚から激情型へ。野ウサギから虎へ。

読み終わってから序盤の性格と終盤の性格を読み比べると、お前マジで同一人物かよってくらい違う。

完全に”””変身”””しちまってる…。

自らの変化を自覚して戦慄する純一。自分が自分でなくなる恐怖と戦ううちに崩れていく人間関係が見どころだ。

不幸な成瀬純一くん、元の人格を取り戻すことが出来るのだろうか…!


まとめ

はっきり言って、かなり面白い。
インタレスティングだ。興味深い。

青春物語はアイデンティティの追求、成長物語は獲得、挫折は喪失。
じゃあ脳がぶっ壊れて無理やり直した人はどうなるんだい!
というトンデモ設定。実験動物じゃねえんだぞバカ野郎。

東野圭吾って初期作品しか読んでないけどかなりトガってるよな。

変身 (講談社文庫)

変身 (講談社文庫)


「変身」はこんな人にオススメ


・変身したい人
・脳移植される人
・センター試験倫理受験の人


おわり。

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