人は何回死ねるだろうか。
無論、一回である。
サウナ探偵です。
人は一回しか死ねないし、この世の多くの人はまだ一回も死んだことがないはずだ。
そんな中、どうやら七回死ぬ男の小説があるらしい。それを、ご紹介、させていた、だく。
あらすじ
どうしても殺人が防げない!?不思議な時間の「反復落し穴」で、甦る度に、また殺されてしまう。渕上零治郎老人―。「落し穴」を唯一人認識できる孫の久太郎少年は、祖父を救うためにあらゆる手を尽くす。孤軍奮闘の末、少年探偵が思いついた解決策とは。
引用元:講談社文庫
著者について
著者は西澤保彦氏。
本作が代表作のよう。第49回日本推理作家協会賞候補。
内容に入ろう。
SF版犬神家の一族
お話はよくある遺産相続問題である。骨肉の争いである。
一代で財を成した老実業家。彼は毎年正月に遺書を書き直す。彼の娘、三姉妹の子供にあたる、5人の孫、誰に遺産の相続権を持たせるか、毎年決め直すのである。
そのため姉妹はもう気が気じゃない。どうやって自分の息子を、娘を、爺さんに気に入らせるか、躍起になって骨肉のバトルが勃発するのだ。
罵り合い、ブラフ、マウント。姉妹の絆?なんだそれは?
構図は犬神家の一族そのもの。
ただし、SFである。
ジジイが死ぬオールユーニードイズキル
死にゲーというジャンルがある。
トラップが多すぎて、何度も死ぬことで死ぬ箇所を学びながら進めるしかないゲームのことだ。
オールユーニードイズキルという映画では、主人公が死ぬたびに時間が巻き戻り、同じ1日を繰り返す。その度に死ぬタイミングを覚えて回避を繰り返す話だ。
本作もまるっきりそれ。
ただし死ぬのは自分じゃない。ジジイが死ぬ。
同じ1日を繰り返してジジイの死を回避
主人公には、作中では「反復落とし穴」と呼ばれる同じ日を9回繰り返す特殊能力がある。いわゆるタイムリープ。発動条件は、特になし。制御は、不能。
正月の三が日、爺さんが遺書を書くタイミングでこの反復落とし穴が発動する。そして同じ1日を何度も繰り返すたびに、ジジイが別の死に方をする。
1回目の死因を回避すると、新たな死因が、2つ目の死因を回避すると、新たな死因が。ジジイ、ぜってえ死ぬ運命。
かわいそうだなあ。
最後のループまでに全ての死因を解決して、ジジイを生き残らせることができるか!と、いう話。
読みやすさがすごい
「七回死んだ男」、読みやすさがすごい。各章30ページ程度で、タイトルを見ればどの章で死ぬのかわかる。
語り手は16才、精神年齢は30代。ライトな語り口に引き込まれること必至である。軽薄と言っても良いほどの文体。スラスラ読めちまうよ。
まとめ
犬神家の一族×タイムリープという斬新な切り口のエンターテインメント小説「七回死んだ男」を紹介した。
同じ1日を9回繰り返す主人公に倣い、1章ずつ9日かけて読むのもいい。
- 作者:西澤 保彦
- 発売日: 2017/09/14
- メディア: 文庫
「七回死んだ男」がオススメの人
・七回死んだことがある。
・ライトノベル好き
・ループモノSFが好き
おわり。
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