ども。サウナ探偵です。
最近、1巻完結のライトノベルが気になってる。
ラノベって10巻以上当たり前、みたいな世界だけど、それも面白いんだけど。潔く1巻でスパッと終わる話ってやっぱり美しいよね。あと、スゲェ気楽。ラノベの時点で気楽なのに1巻で終わるという読む障壁の低さ。
「ラノベ 単巻 オススメ」とかで日々検索をかけていて、各所で絶賛されてた一冊を読んでみた。
「旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。」
いやもうタイトルがエモいわ。
旅に出る。ほう、ロードムービー的なやつね。
滅びゆく世界。なるほどポストアポカリプス。大好物です。
そんで表紙よ。スーパーカブに寄りかかる少女。ごちそうさんです。学生時代リトルカブを乗り回してたもんだから、親近感が湧いてしまった。カブはいいぞ。街乗りでリッター60キロ出っから。
・存在が徐々に消えていく“”喪失症“”
・これまでの生活を捨てた少年と少女の夏の旅
・行先で出会う人との交流
いわば“”ポストアポカリプス青春ラブコメロードムービー“”って感じかな。
これみんな好きなやつでしょ。
いわゆるポストアポカリプスほど荒廃した世界でもないんだけど、緩やかに衰退していく人類の開き直りが爽やか。
「喪失症」と呼ばれる徐々に存在が失われていく病気が人類に蔓延していた。はじめに名前が分からなくなり、記録上の名前も空白になる。写真から消えて無くなり、身体の色が薄くなっていき、やがて“消える”。死ぬのではなく“消える”。
そんな病気が蔓延した世界でまともに生活を続ける人などいない。少年と少女もこの病を発症し、学校を飛び出し家を捨て、スーパーカブ1台に2人乗りの旅を始めた。ガソリンを探し、食料は節約。風呂は週に一度も入れれば万歳。目的地は、世界の果て。
ということらしい。名前がわかんなくなっちゃったから互いに「少年」「少女」と呼び合う。思い返すと作中で全く固有名詞が出てこなかった。少年、少女、先生、ボス、取締役、ジジイ。
新手の病気が蔓延しているという、まさに現代のコロナ禍の様な舞台設定だが、驚くほど悲壮感がない。 旅先で出会う人々も当たり前の様に喪失症にかかっている。
それなのになんという爽やかさ。
トマト食って、焼きとうもろこし食って、カップ麺はご馳走。焼きとうもろこし食いたくなっちまうわ。
厳しい状況に似合わないほのぼの感がいいね。
夏という季節と、少年少女、スーパーカブの魔法やね。
2章の飛行機飛ばす話は特によかったなあ。ドラム缶風呂、入りたくなっちゃうね。3章の幸薄姫も良かったけど。
連作短編みたいな形式をとってて、特にこれといった盛り上がりもなく物語は終わる。でもなんとも言えぬ満足感。
少年と少女の物語がこの後どうなったのか。もっとこの物語を読みたい。この話の続きはどこで読めますか。読めません。
なぜならば続きはないので。
彼らは最果てに辿りつけたのだろうか。この世界をまだ感じていたい、と思ってももう存在しないのだよ…。
なぜならば一巻完結だから。
単巻ラノベ、エモいやんけ…。
おわり。
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