鈴と小鳥とそれから私とサウナ

小説「トラペジウム」高山一美 感想 エピソードの配分おかしくない??


うっすら気になっていたトラペジウム、俺が信用してる映画好きのオタク(映画オタクではなく映画好きのオタク)が絶賛してたので観ることにしました。

その前に図書館に行って原作を読み切ってきた。

トラペジウム/高山一美

乃木坂46一期生の人が書いた模様。
アイドルが書いた小説っすか?半自伝っすか?
いやはや、お手並み拝見といきましょうかね。


ええ…。
なんだこれは…。
俺この映画見なきゃならんのか…

あらすじ

可愛い子がアイドルにならないなんて勿体無い!

東ゆうはアイドルになる事を夢見る女子高生。
彼女の計画はこうだ。
町内の東西南北の美少女を集めて最強のアイドルユニットを作る!!(???)
なんやかんやあって東西南北の美少女を確保。
北「みんなはボランティアに興味ある?」
東(アイドルになったら絶対過去掘られるやん。ボランティアはアド!)「やりましょう」

ほんでボランティア活動がテレビ局の目に留まり、なんやかんやあって東西南北でテレビ出演。とんとん拍子にアイドルデビュー。
夢、叶っちゃうじゃん!
そして崩壊。あわわわわ。

なんでや!!そ”ん”な”の”お”か”し”い”よ”!!!アイドルはみんなを笑顔にする最高の仕事なんやで!!アイドルができるってことは幸せなんやで!!!!なんでやめるんや!!!このハゲーーーー!!!

出典・俺

冷血マシーンの成り上がり計画

は????

あらすじがクソすぎるだろ。
東西南北から?美少女を集めて?アイドルをつくる????
バカ!!!!!!!
大バカ!!!!!!!

なんなのその中学生が考えたみたいなクソ計画。

だがそのクソ計画を現実のものとしてしまう女がいた。
東ゆう、バケモンすぎる。

これはもう散々あっちこっちで言われてるけど、この女、人をコマ扱いしすぎである。
原作小説では、東ゆうの一人称視点で進行する。つまり地の文は彼女のモノローグなんだが、これが腹黒すぎる。
完全に自分の描いたストーリーを遂行することしか考えてない。全ては舞台装置。全ては役割。
東ゆうが欲しかったのは"""ロボコンで注目された美少女"""というパラメータ。

だから計画通りにいかないとすぐに不貞腐れる。
登山で西南と班が分かれた時、彼女が考えていたのは「誘ったのに申し訳ない」ではなく、「まずいまずいまずい東西南北が崩壊する」である。
東ゆうにとって全ては手段である。西南北と友達になったことも含めて。
だから嫌われるのはまずい。なぜなら東西南北のアイドルになれなくなるから。

テレビ撮影の日に西ことくるみが音信不通になった時、東ゆうが心配したのはくるみの無事ではなく""撮影が出来ないかもしれないこと""。
東ゆうにとっては1番大事なのはアイドルになること。次に大事なのはアイドルになるため(に必要だと確信している)の計画を滞りなく遂行すること。

だが東ゆうの主観では善行なのだ。これが。
彼女たちはこんなに可愛いのに自分がなろうと思わなければアイドルにはならない。勿体無い。私が導いてあげる。

なんという独善。なんというエゴ。
恐れ入りますね。

東ゆう以外が空虚すぎる

西南北のみなさん、存在が空虚すぎます

特に北ちゃんこと亀井美嘉
こいつは小学生時代にいじめられて不登校になって、顔面総作り替えして中学受験みたいなクソほどエグいエピソードを持ってるんだが、扱いが砂並み。
え、そこ掘り下げないんすか?なんで???

おそらくは東ゆう自身が整形?別にええけどっていうスタンスだから。普通だったらこの話は掘り下げエピソードがあるはず。だけどない。なぜならば"""東ゆうにとってはどっちでもいいから"""。

西南北のみなさんの存在が空虚すぎるのは、そのまま東ゆうの彼女たちに対する興味と置き換えて良いのかも知れない。
彼女たちの意思や背景が、徹底的に蔑ろにされている
意図したものか、意図せぬものかはわからんけど。

まあそんなことよりも大きな問題があるんだよ。この小説には。


起承転結とは

それはエピソードの配分。

別に東ゆうがサイコなのは問題でもなんでもねえ。むしろ加点。

この小説は配分がバグってる。
アイドルになってからやめたり仲直りしたりまたアイドルになったりってのが最後の30頁しかねえ。
それまで200頁近く使ってクソほどどうでもいいボランティアの話とかをしていたのに。
マルチリンガルのジジイの話とかそんなに詳細にやる必要ある???ねえよなあ!!!

起承転結で言ったら起・承承承承承承承・転結みたいな。

 西と南を抱き込む
 北を獲得、北の影響でボランティアをやる、観光地のボランティアでメディアにコネ、テレビに出る、アイドルデビュー
 アイドル崩壊
 丸く収まる

この転結のところの濃密なエピソードが読みたいんですけどねえ!!こっちはさあ!!
なんとこの間30ページ。駆け足すぎんよ。

クッソどうでもいいボランティアにページ割きすぎなんすよ。残りページが薄くなってから急にアイドルになったって心配で心配でその後の展開についてけねえよ。
この構造の欠陥が非常に厳しい。 元々は連載だっつうからなんらかの事情があったんかもしれないけど。全体の半分くらいのところでアイドルになってて欲しかったわね。

どうしても言っておきたいことがある

あとこれ女性が書いてるからなのか、制服萌えに関する解像度が低いですね。
男なんてのは物心ついてから死ぬまで制服は好きなんすよ。工藤くんみたいに公言はしないかもしれないけどな。別にヤツは変態ではねえんだな、これが。至ってノーマル。普通。凡ですらある。
青春時代の未練だとかそんなの無関係だかんね。
男は自我が芽生えてから死ぬまで制服萌え。これだけは覚えて帰ってください。

これが原作の映画がそんなにいいんすか

trapezium-movie.com

公開当初からチラチラと情報は流れてきてたんだが、どうも最近おたくたちが東ゆうに脳を焼かれている様子が散見される。

元々小説も読んでなかったんだが、ちょっと興味が出てきて先に小説を読んだらこんな状況。どうやったらこの冷血腹黒マシーンにそういう好意的な印象持てんの??って思った。 んやけど、映画を見たら割と腑に落ちた。

なるほどですね。こういうふうに料理するんすね。

映画に関してはまた後ほど。

おわり。