たまにやる楽しい遊び。
四六版の単行本を衝動的に買う。
普段文庫しか買わないのでね、単行本サイズを買うとワクワクすんのよ。
血が出ると怖い
で、今回選んだのが「君の膵臓をたべたい」の住野よる氏の新刊
「腹を割ったら血が出るだけさ」。
キミスイと併せて内臓シリーズっていうらしいよ。
こえー。
内容は全く繋がってもいないし毛色も全然違う話だった。
あらすじ
ベストセラー小説をバイブルにして、同じ人生を歩もうとする愛されたい病の女子高生。
ライブハウスに勤め、自分を偽ることのない女装趣味の男。
自らの完璧なストーリーを演出するアイドルグループのボーイッシュ担当。
全てが嘘の者、全てが本当の者、過去を塗り替えた者、一つの街で錯綜する若者たち。
自我に悩む人々に送られる、主人公不在の群像劇。
出典:俺
結論から言うと
すごい小説だと思った。
多分、ブッ刺さる人にはマジでブッ刺さるんだと思う。
まあ俺にはあんまり刺さらなかったんだけど。
ターゲットが明確
個人的に刺さんなかったのと駄作かっつーのは全く別の話で、本作は割とターゲット層が明確な小説なのかもしれないと思う。
おそらく、多感で、不明瞭な未来に恐れを抱く、自我に苦しむ中高生〜社会人数年目くらいの人がターゲットなんじゃないかな?
そうでなくても繊細な人とか。あと女性とか。(メインの語り手がJKとアイドルなので)
俺は最近は割と能天気に生きてるのでちょっと微妙に入り込めなかった感じだった。
でも記憶に残る一冊ではあったと思う。
俺にはマジで共感できねえ
あらすじにも書いた内容だけど、本作には大きく3人の語り手がいる。
それぞれ全てが嘘の者、全てが本当の者、過去を塗り替えた者という風に、異なる背景を持った人たちで、絶妙にすれ違い絶妙に関わっていく。
個人的には他人を巻き込んで小説をなぞろうとする女子高生が心底気持ち悪かったし、過去を誉められることを『否定』だと受け取るアイドルが浅はかに思えた。
言葉を揚げて否定云々いう前に、「フォローしてくれてる」という意図を大事にできんもんかねと。
こういう人って、本来そこには存在していない争いを自分で作るよなあとか思ったり。
血が出るだけか、そうではないか
とまあ、こう繊細な人を論理でどうこう捉えようと思うあたり、俺はこういう話に共感できねえなって思う。
だから彼らが俺に腹を割ったら血が出るだけだっただろう。
小説の中では、互いに腹を割った(のかな?)彼らは血が出るだけじゃないように俺には見えた。
本作は読む人によって、血が出るだけなのか、血以外のものが出てくるのか、変わるのかもしれない。
まとめ
刺さらないのは刺さらなかったんだけど、読んで後悔とかは全くない。
共感は全くできずとも、受け取るものは確かにあった。
あーそうだ世の中ってこういう繊細な人たちもいるんだったわって思い出させてくれる小説だった。
ぜひ彼らの割った腹から血が出るだけなのかそうでないのか、ご自身で確かめていただきたい。
おわり。
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