サウナ探偵であります。
こんにちは。こんばんは。キュアップラパパ。
乾くるみ氏の「リピート」を紹介する。マジで引き込まれ方が段違いのワクワク小説。俺はこの作品、知らなかったんだけど、つい最近ドラマ化してたんやね。
爽やか青春モノみたいな表紙しといて、全然違うんだぜ?
その実、クズ大学生の人生やり直しチャレンジなんだな。
タイムトラベルものにありがちな、タイムパラドックスを回避して、なんだかんだでハッピーエンド、って感じじゃなくて、なかなかダークな傑作だった。
※タイムパラドックスとは…
過去の改編によって未来が変わる現象
自分が生まれる前の母親を殺すと自分が消滅する。
詳しいことはバックトゥザフューチャーを見てくれ。それが早い。
核心をつくネタバレは書いてないつもりだけど、多少キワドイかもしれないので注意。
あらすじ
もし、現在の記憶を持ったまま十ヵ月前の自分に戻れるとしたら?この夢のような「リピート」に誘われ、疑いつつも人生のやり直しに臨んだ十人の男女。ところが彼らは一人、また一人と不審な死を遂げて…。あの『イニシエーション・ラブ』の鬼才が、『リプレイ』+『そして誰もいなくなった』に挑んだ仰天の傑作。
引用元: 文庫版の裏表紙
著者について
著者は乾くるみ氏。
言わずと知れた「イニシエーション・ラブ」の奇才。
俺は「イニシエーション・ラブ」と「リピート」しか読んだことないのだけど、どっちも一筋縄ではいかない後味の悪さが残る小説で、スッキリ爽快な作品ではない印象。
「イニシエーション・ラブ」についてはこちらの記事にも。
lutrinae.hatenablog.com
序盤からの引き込みがすごい
本作の凄いところは、序盤からの引き込みの強さ。
推理小説って初めの100ページくらい何も起こんなくて退屈だったりすんのね。
人、はやく死なねーかな!ってなっちゃう。
「リピート」はそんな退屈さとは無縁。
1ページ目で謎の電話がかかってきて、2ページ目では地震が予言される。で、その地震が実際に起きる。君も僕と一緒に人生を「リピート」しないかい?
いや、初っぱなからどんだけワクワクさせんの。
こんなん続きが気になって仕方ねえじゃん。
タイムトラベル×そして誰もいなくなった
「リピート」とは、タイムトラベル現象の、作中での呼称。個体として時空を越えるのでなく、現在の意識を保ったまま、過去のある時点の自身の意識に入り込むという現象。
このため、「リピート」後の時間軸には自分は1人しかいない。「バックトゥザフューチャー」じゃなくて「時をかける少女」のパターンやね。
しかもリピート後の人生でも、時間と場所を正しく合わせれば、何度も同じ期間を繰り返せる。実質不老不死。テクニックの必要なエンドレスエイト。
このリピートに参加するのが10人の選ばれし男女。 で、リピートしたあとの世界でバシバシ死んでいく。
何度もリピートできると言っても、途中で死んでしまえばそれまでなのでこれはマズい。
明かにリピートした者(リピーター)が狙われている。でもリピーターをリピーターと知っているのは同じリピーター同士のみ。
つまり、リピーター同士にしかそうと認識できないクローズドサークルが発生してるんだな。
全くクローズドじゃないのにクローズドサークルが出来上がってる。
発想が新しい。つーか、スゲェうまい。
でも個人的には、これは「そして誰もいなくなった」よりは「ファイナルデスティネーション」に近い印象かな。
主人公がマジのクズ
主人公の毛利君、クズすぎるぜ。全く応援できねえ。バイト先の女の子とワンナイ、元カノは殺して婚約者を見捨てる。
「やり直せる」「無かったことにできる」という全能感は人間をここまで堕とすんだなと。
男の汚えとこ書くのがうまいよな、乾くるみ氏は。
この主人公がクズすぎる故にリピート前の人生よりも状況がどんどん悪くなっていく。そのなかでもがき苦しむ主人公。
あんまり頑張れという気持ちにならないのが誠に草。
リピート後のやり直し人生で毛利君は全てをチャラにして次のリピートに辿り着けるのか!
次の人生に、こうご期待!バカ野郎。
まとめ
大多数の人が初めて読む乾くるみ作品は「イニシエーション・ラブ」ではないかと思う。
次に読むのは「リピート」がおすすめ。
発売は2004年だけど、2017年にドラマ化されたこともあって、記憶にある人も 多いのではないだろうか。
毛利君、天童さんと共に生き残りの推理ゲームに挑むもよし、第三者目線で物語を楽しむもよし、どう読んでも楽しめるミステリになっている。
ただし、基本的にはクズ大学生の悪あがき物語なので、読む人を選ぶかもね。
「リピート」をオススメできる人
・予定調和なタイムトラベル物に飽きてきた
・人間の汚えとこが見てえ
・ヘリの免許を取りたい
「リピート」をオススメできない人
・クソ男絶対殺すマン
・みんなハッピー大円団じゃないとキレちゃう。
おわり。
イニシエーション・ラブについてはこちら。