まず新書に滝沢カレンって時点で100点馴染みがねえよ。
滝沢カレンってあの?
ども、サウナ探偵です。
祝・ハヤカワ新書創刊。
ローンチタイトルに一際目を引く名前が。
「馴染み知らずの物語」滝沢カレン
滝沢カレンって、あの?バラエティ番組でトンデモワールドをかましてるあのタレントの?
そう。まさにその人。
これもうイロモノ枠だろ。
気になりつつも忘れてんだけど、好きな作家さんがTwitterで高評価してたので読んでみた次第。
滝沢ワールド【別館】
収録作は「蟹工船」や「あしながおじさん」、「私を離さないで」「変身」など。
パクリじゃねえんだわ。
名作のタイトルとさわりの設定だけにインスピレーションを得て、滝沢カレンが独自のワールドで書き連ねた短編集なのだよ。
そういうコンセプト。大体どれも10〜20頁くらい。ショートショートと言ってもいいくらいの長さ。これがなんとも心地よい。
驚きあり、ホラーあり、ミステリチックなのもあれば意味不明なのも。
テレビの滝沢カレン節とはまた違う方向性。
似たような展開がいくつかあって小慣れてない感も含めて""滝沢カレンの小説""として楽しめた。
イヤーちょっと侮れない一冊やったね。
というか侮ってたわ。読む前は。正直。
お話が好きだから書く
まえがき、あとがきから伺える、物語に対するスタンスが好印象。
「読んだら忘れてもいい。ひととき読者の頭に入れただけで十分」みたいなメッセージが書かれている。
書きたいから書く、お話が好きだから書く、本にできて幸せ、みたいな。
自分のために書いてる。それが人にも読んでもらえたのならうれしい。みたいな。
俺は好きだね。このスタンス。
あとがきから人柄の良さが滲んでる作家って好きなんだよ。
こう、別に作家に全振りしてるわけじゃないからこその余裕があるよね。多分。
小説に限らず、俺は芸術ってのは出力結果に意味があると思ってて、背景とか苦悩とかは正直どうでもいいんすわ。だから時代を反映した不条理小説とか嫌いなの。何言ってんのかわかんねえから。
あとやたら前に出てきてマイナス評価レビューにいちいち噛みつく作家とか超嫌いなんだよ。つまんねえからつまんねえって言われてんだろ。
その点で、こういう風な余裕のある作家ってのは印象がいいやね。
ともかく、「馴染み知らずの物語」by滝沢カレン、いい意味で裏切られました。
全然イロモノ枠ではなかった。
長編はどうかと思うけど,ショートショートか短編でもっと読んでみたいと思わせる一冊だった。
滝沢カレンがまたなんか小説を書いたら多分買うと思う。
おわり。