鈴と小鳥とそれから私とサウナ

「そして、バトンは渡された」瀬尾まいこ 感想 これほどに満ち足りた小説があるか。



なんでみんなもっと早く教えてくれなかったの。



えーサイコーじゃないっすかーこれー。えぇー?オイー。
みんな俺に黙ってこういうの読むのやめてー。

最高の物語をありがとう

ども、サウナ探偵です。

まずはお礼を言わせてくれ。瀬尾まいこ氏、ありがとう。サイコーの小説を読ませてくれて。

つーわけで「そして、バトンは渡された」by瀬尾まいこ

いいですね。好きですね。
なんという大団円。

親が変わるという境遇、『バトン』というワードから、不遇な少女を大人がたらい回しに押し付け合うみたいな、どっちかっつーとダークサイドの話かと思ってた。

とんでもないですね。サイコーの幸福小説じゃないっすかこれー。やだもー。早く読みゃよかったな。

本屋大賞だし、もう俺からの紹介とかクソほどいらんでしょ。好きに書かせてもらうわ。

あらすじ

高校3年生の優子には父親が3人と母親が2人いる。
小学生の時の父の再婚を機に、何度も新しい保護者の間をリレーしてきた。
今は血のつながらない20歳年上の父森宮さんと過ごしている。

球技大会、友人とのトラブル、合唱祭、恋愛、受験。さまざまな折に触れ、これまでの歴代の保護者との生活を回想する。優子は、その誰からも惜しみない愛情を注がれ、もれなく受け取り、育ってきた。

彼女も高校を卒業し、短大を卒業し、就職した。
ついに優子にも結婚する時が来る…。

幸福しかない

幸福しかないんですわ。
なんせ本編の第一声が「困った。全然不幸ではないのだ。」だかんね。
これは高校の先生との二者面談での「なんか困ったことあったら言ってね」に対する困惑。

小学3年生から大人の都合でコロコロ保護者が変わって、自分には選択権もないのに、全く不幸ではない。
そんなこと、ある???
いくらいい人でも環境が変わるだけで多大なストレスなんじゃない?普通は。

でもこの話はそうなんすわ。奇跡的なくらいいい人しかいない。ここは本当に日本なのか。
徹頭徹尾サイコーの幸福物語。そういうのお腹いっぱいですとか言ってんなよ。いいから読めよ。

小学生からの成長過程

本作は高校三年生の優子の1年がメインストリームとなって、ことあるごとに過去の回想が入る作りになっている。

同級生に告白される→平凡な私がモテるようになったのは、二番目の母梨花さんの影響だ〜→梨花さんの回想

合唱祭でピアノ伴奏することになる→私がピアノを弾くようになったのは、二番目の父泉ヶ原さんの〜→泉ヶ原さんの回想

みたいな。

こうして幼少期から時系列に回想が入る。
この、「少女が独り立ちするまでを描く」みたいな流れがどうやら俺は大好きらしい。
そう言うとちょっとキモいな。

昔から好きだったのは森絵都「永遠の出口」とか、最近読んだのだと住野よる「また、同じ夢を見ていた」とか。
乾ルカ「心音」も構造は近いかな。


こういう少女の成長物語が好きなんですわ。どうやら。なんか知らんけど。あとマリみてもそうか。

登場人物みんな、好きすぎる

優子が幸福に過ごしてこれたのは、最初の継母梨花さんのおかげであるところが大きいと思う。
もちろん本人の素直で物事を俯瞰する性格の寄与も大きいのだけど。

幼児期の面倒なことすっ飛ばして8歳の女の子の母親になれるなんてラッキーなんて軽いことを言う人だが、優子を第一に考えているのは間違いない。
急に音信不通になった時はマジかと思ったけど、それにだって理由がある。

優子の境遇がコロコロ変わること自体の原因は梨花さんなんだけど、絶対に優子が幸福になれるように動いている。そういう人を再婚相手に選んでいる。

梨花さんが三番目に選んだ夫(=優子の三番目の父親)が森宮さん。
この森宮さんが実質的に最も長く優子の保護者を努めることになる。

この人が本当に癖が強いんだけどすげぇいい人でスゲェずれてるけど超優良保護者。東大卒の変人。森宮さんの宇宙人感、たまんないね。

「優子ちゃんの親になって、明日が2つになった」
なんつーナイス表現。

もう登場人物全員好き。

まとめ

またちょー好きな小説に出会っちまったわ。
良すぎでしょ。
こんなに読んでてずっとプラスな気分になれる小説ある?まあそれはあるか。
ともあれ、瀬尾まいこ氏、要注意人物だわ

ほんでこの文庫版の解説の上白石萌音、いい文章書くなあ。

あと映画も観てえな。
田中圭の森宮さんと石原さとみの梨花さん、完全にわかり手でしょ。

おわり。

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