この表紙の天使さんは炭酸しか飲まないってコト…?!
いいえ
いきなり騙されちまったな
ども、サウナ探偵です。
前々から気になってた「天使は炭酸しか飲まない」を読んだ。
タイトルがねぇ、センスがいいじゃないですか。
こう、タイトルってのはやっぱり小説の顔だわ。言葉として洗練されてて、それでいて興味を引くのがいいじゃん。
設定を並べただけのクソ長ラノベタイトルって嫌いなんだよ。チートだの異世界だのよ。下品。やめてくれ〜小っ恥ずかしくて死ぬわ。
で、誰がどうみたってこのタイトルの「天使」ってのは表紙の女の子のことだと思うよなぁ?
それが違う。天使とは主人公の少年。
なんか慈善事業で恋愛相談をしている。正体を明かさずに。
特殊能力が前に出過ぎてない
主人公の明石伊緒は『顔に触れた相手の好きな相手がわかる』という特殊能力持ち。
正直この時点でウッ…となりそうなんだけど、本作、この特殊能力の前に出過ぎなさがかなり丁度いい。
というのは、特殊能力が問題の解決に使われておらず、問題が生じるトリガーに使われているというところ。
ストーリーの根幹を特殊能力で解決してしまうともはやデウス・エクス・マキナなのでクッソ冷めるんだけど、初めからあるものとして扱われれば突飛であろうと違和感がない。
ラスボスを論理不明の謎システムで倒すのはモヤるけど、初めから魔法のファンタジー世界であること自体は特に気にならない、みたいな。
基本は人間関係
それでいて基本はしっかり人間関係に主をおいてるところがいい。
美少女カバーイラストのラノベなんて、もうティーンズ向けのそこはかとなく雑な青春ラブコメ臭が漂ってくるじゃないですか。(ラノベはそもそもティーンズ向けではという議論はしない)しかも特殊能力なんてもうイロモノ確定じゃないですか。
が、本作はかなり丁寧に描かれてる印象。
登場人物が空気を盛り上げるためだけの不可解なムーブをしない
登場人物がちゃんと人間の動きをする。
というのは昨今のラノベ界隈では稀有だしめちゃくちゃ好印象。
(それはどうなのって思うけど)
打ち切り危機らしい
本作、打ち切り危機の様子。こんな面白えのに。
3巻のあとがきあたりからかなり切実に伺える。というか明言されてる。
一方で、あとがきにある通り、ビジネスの都合で無理やり終わらせて台無しにする気が作者にないのも非常に好感。
どうも2000年代臭が漂ってて現代の読者にマッチしないのかもしれないけど。悲しい話だね。女の子が可愛いだけの方が売れるってのは。こう関係性を丁寧に書く話は流行りじゃないんかね。
今4巻までは出てるけど、その4巻は明らかに値段が割高だし、かなり無理して出したのかなって厳しさが伝わってくる。けど、完結まで続いてほしい。
だからみんな買って読んで。
おわり。