鈴と小鳥とそれから私とサウナ

完成度がすごい「誰が勇者を殺したか」駄犬 感想


これ今んとこ今年のラノベの優勝っすね。

勇者を殺すなよ

ども、サウナ探偵です。
クッソ良質なハードファンタジー作品を見つけてしまいました。

「誰が勇者を殺したか」駄犬

転生もチートもねえ。勇者が魔王を倒す世界観で、こんだけ面白い。
小説の面白さってプロットの面白さなんだなって思わされたわね…。

世界観はいわゆるファンタジーそのもの。
魔王という存在があり、人類と敵対しており、勇者一行が倒す。剣と魔法の世界。

だが描かれるのは魔王を倒した後の話。
しかも勇者死んでる。

このパターンは最近の流行りなんかね?葬送のフリーレンとかも同じよね。勇者が死ぬのも含めてね。空気感にしてもこう中世ヨーロッパ風味の世界観で、その上で魔物は一掃済みなのでどこか牧歌的な空気漂ってるよね。


本作では、魔王を倒した帰路で勇者アレスが命を落としている
帰還したのはパーティメンバー3人のみ。
語り手が彼らに勇者が命を落とした経緯や田舎者の平民だったアレスが勇者となった経緯をインタビューする形で話が進んでいく。
その中でアレスの努力や苦悩や出自、そしてなぜ命を落としたのかが明らかになっていくという話。

サイコーでござったな…。俺のファンタジーリテラシーにちょうど良かった。
タイトルからしてもミステリーのケが若干あるけど、あんまり「謎解き」って感じはしない。「何が起こったか」よりも「誰が何をしてどうなったか」に焦点が当たってる。
割とストレートに「侮られていた奴の努力が認められて見直される」というストーリーだった。それを色んな人の目線からやるやつ。

全体にはシリアス路線なんだけど、ちょくちょく入るコメディ風味が全く邪魔でなく、むしろ読みやすさを後押ししていて、すごく心地よい読み味だった。
ラノベって不自然にギャグやらす風潮があるじゃないですか。ああいうのヤなんだよ。

著者の文章はどうやら俺にはすごく相性がいい模様。
これがデビュー作だというのだから恐れ入る。歳は結構いってるみたいだけど。だからこそ文章に浮ついた感じがないのかもしれん。すごい好きだわ。
スニーカー文庫見直したわ。

同時刊行の「モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件」はまるで違う作風でコメディに振ったエンタメでこっちもメチャクチャ良かった。100パーエンタメだった。

ただ本作「誰が勇者を殺したか」、どうも続刊があるらしい。こんな綺麗に1巻完結で最高の完成度なのにどうやって…?
今の所全く非の打ち所がないのに、蛇足にならんことを祈る。

おわり。