なんという着眼点
ども、サウナ探偵す。
異世界ファンタジーに税金の概念を取り入れた意欲作「剣と魔法の税金対策」by SOW。
読んだんだけど、これがスゲェ面白かったのでぜひ紹介したい。
「ザ・ゴール」byエリヤフゴールドラット みたいな空気感で、もっとエンタメに寄った感じ?
そりゃ面白えはずだよなぁ?!
まずはあらすじ
魔王「味方になれば世界の半分をやる」
女勇者「わかった」
???「では、贈与税を徴収します」
贈与税を逃れるため、勇者と魔王は偽装結婚し世界を共有資産としたが、一度目をつけられた魔界は税務調査の対象とされた。
人間よりも長い寿命、頑丈な身体にあぐらをかく魔族には、テクノロジーや財務の知識が蓄積されていない。
よってガバガバ財務のツケ、1兆イェン(円)の追徴課税を課せられることになった。
魔王と勇者はイニシエのジョブ「ゼイリシ」の生き残りに助けを求め、ひたすらに経費を計上する日々がはじまる。
出典: 俺
ファンタジー × 税
どうよこれ、あらすじからして面白そうすぎでしょ。実際おもしれーのよ。
ファンタジー世界での税金のあり方という着眼点の鋭さ、敬服に値するわね。
異世界系って、日本人が記憶を持ったまま転生して、チート級の力で無双、みたいのが主流なんでしょ?俺はそういうベタベタなのは避けてるからよくわかんねーけど。
こういうヒネりの効いたやつがおもしれーよな。
非常にガガガ文庫らしい。俺たちの好きなガガガ文庫って感じ。
節税を通して税の意義やあり方をおしえてくれる
ちょっとややこしいのだけど、この世界の税制度は 民衆→国家→天界 という構図になってる。
魔王&勇者は一兆イェンという莫大な追徴課税を天界から課せられるが、そんな大金のアテはない。
これを解決するために魔王城の運営にかかる経費を計上する。深夜手当、福利厚生を算出する。
さらには未開の土地に眠る手のついてない資源の開発権をウリに、人間界に国債を売りつける。
魔族は身体が屈強なので、金属や資源を求める必要がない。故に未開の地がめちゃくちゃある。
彼らは天界へ納める金を捻出するために「増税して民衆から巻き上げる」という方法は取らないのだ。
「事業を起こし、雇用を生む。新たな価値創出へ再投資することで、控除を増やし、天界への追徴課税額を減らす」という方法をとる。過程で自然と民衆の幸福度は上がっていく。
いや理想っすね。
税というのは「市民を幸せにする努力を怠ったことへのペナルティ」みたいなイメージなのかな。というよりは、労働環境をよくすれば免除される?的な?現代日本で言えば企業の社員と読み替えてもいいのかも。
政治側の悪者が、消費税を増税しようとして、「増税は悪手だ」と退けられてたのは皮肉が効いてた。
現代日本に当て嵌めて考えるのは難しそう
とはいえこの話を現代日本に当て嵌めて、ほらみろ増税は悪だ!と主張する人がいるとしたら、早計かなと。
沢山の資源が眠っていて、労働力もあって、雇用を作ればどんどん潤うという環境ありきだからね。
日本はそもそも資源はないし、高齢化によって労働力もない。
バリバリ働いていろんな物作ってガンガン発展、というフェーズは50年前に過ぎてるのよね。高度経済成長期ね。
現代日本じゃせいぜい予算消化のために年度末にわざわざ道掘り返して埋めるくらいしかねえんすわ。
悲しい現実すぎる。
日本じゃ増税に甘んじるしかねえのか…。
まとめ
んーこの本を読んで、税金が大切だってことと、組織単位では働く人の環境をよくすれば税金は減るってことはわかった。幸せになる努力をすれば、恩赦があると。
じゃあ個人単位では?
給料から天引きされて、物を買えば無理やり余計にふんだくられて。
個人で節税しようとすると、保険やらローンやら、イデコだの積み立てNISAだの、""金に色をつける""必要がある。つまりりんごが食べたくなってもりんごを買うためには使えない形にしなければならない。
自由に使える現金を少なくしとけば税金が安くなると。
なんでそうなるのかわからん。
なんとも詐欺まがいの仕組みに思えるな。
どうにかして俺だけ税金払わなくてよくならねえかな…。
なんやかんや言っても、"小市民目線"で見たら税金は悪だわ。
だから俺は図書館で年間の上限までリクエストするぞ。
住民税を回収するんや!
でも剣と魔法の税金対策の続刊は自分で買う!
税金の勉強になるかどうかっていう点を差し置いても、本作はストーリーが面白いからオールオッケーなんよ。
続刊では、個人にフォーカスした税金対策の話に期待っつーことで!
おわり。
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