鈴と小鳥とそれから私とサウナ

「サピエンス全史(上)」感想

ども、サウナ探偵です。
サピエンス全史、文庫化してたのでとりあえず上巻を読みました。
いやー面白いっすね。ホモ・サピエンスという生物種の発生から現在までの人類の歩みを、心理面、技術面でつまびらかにしてくれる本。知的好奇心をビンビンに刺激する。

「ホモ・サピエンスがそれら(小麦など)を栽培化したのではない、ホモ・サピエンスがそれらに家畜化されたのだ」
ここ、サイコー。

でも、面白いけど、面白いのだけど、それ以上にイライラがすげえんだよ。
なんだよこの文章。推敲してんのか。

3度読んで意味の取れない文は書き手の落ち度

だと思うんすよ。俺は。

何を指してそう言ってるのかというと、やたらと長文だったり、主述が不明確だったり、直訳っぽかったりする文章。
とにかくこういうのが多い。
悪意を持って読みにくくしないとこうはならねえだろって感じの文章が鬼のように連発されるので非常に疲れる。

科学の本なんだから、第一目的は情報の伝達だと思う。だから極論、箇条書きでもいい。
構成に関しては原文からそうなんだろうけど、一文単位では翻訳の問題にも思える。

この本を読みにくいって言う人がいるのは、内容が難解なのではなくて文章に癖がありすぎるからだと思う。
だって内容は全然難しくねえから。
論理に納得がいかないって点はあんまりなかった。ただその論理の部分が強調されない上に横道に逸れがちなので、「あれ、今なんの話してんの?」となること多数。

論理の主軸、大事なところはクソ味噌のごった煮から抽出しなければならない。ただ、俺はそういう読書の本筋からはずれた努力はしたくない。書き手の落ち度を読み手が気を利かせて補完するような努力は。

専門知識が足りないから読み解けないとか、誰にでもわかるように書くと専門性が失われるとか、そういう話じゃない。
単純に読み手のことを考えてない、推敲が足りない文章だという印象。
どう読んでも意味がとれない文が少なくないというのは、読み物として致命的ではないか。

永遠に理解できない文が結構あるので、かなり斜め読みするほうがいいのかもしれない。
大事なところがピックアップできそうなら。

内容はメチャクチャ面白いだけに

この文章の瑕疵が非常に惜しい。
これでは読むのをやめてしまう人も出てくるだろう。

内容はとんでもなく面白いのだよ。

特に前半5章くらいまでの進化生物学的な話が抜群に面白い。
野原で草食ってたサルが地球上を支配するまでの話。

「ホモ・サピエンスがそれら(小麦など)を栽培化したのではない、ホモ・サピエンスがそれらに家畜化されたのだ」
名文すぎるだろ。

後半の社会科学の話になってくると個人的な興味は薄れるんだけど、やはり感心されられる話はある。

本書の端々の考えや知識を一度でも頭に通しておけば、世の中の見方が変わると思う。
これまで自明と考えていたことへの疑義だとか、考えつきすらしなかった視点が生まれるだとか。

ただ、文章がキモいせいでそこに辿り着けない人が相当数に生じてしまいそうなのが残念すぎる。
俺はみんなに本書を読んでほしいけど、おすすめはできない。だってストレスがすごいんだもん。
読みにくい文章でも気にならない人は絶対に読んだ方がいいと思う。

俺だって下巻どうしようか今メチャクチャ迷ってんだよ。
でも上下巻一気に買っちまったんだよ。

とりあえず一回休むか…。



おわり。