鈴と小鳥とそれから私とサウナ

読むな「隣の家の少女」感想&考察 ネタバレあり クソ最悪な読書体験


クソ最悪


いままで読んだ中で最悪の小説です。
どうもお疲れ様でした。


ガチでクソ最悪な小説

ども、サウナ探偵です。
いやー最悪っすね。どうすんの、これ。
誰が責任とんの、これ。

隣の家の少女/ジャック・ケッチャム

これが実話ベースってまじなのかよ。
死んじゃえよ…。

以下、ネタバレがあります。
ネタバレもクソもねえけど。

あらすじ

14歳の少女メグが親戚の家に引き取られる。
クソババア+クソガキ3人兄弟。
メグは地下室に閉じ込められて、吊るされて、殴られて、茹でられて、クソを食わされて、切られて、焼かれて、犯されて、殺された。戯れに。
なんも悪いことしてねえのに。

主人公は12歳の隣人の少年。
手を出しはせずとも見てるだけ。カス。

以上

何を読まされているんだおれは

いやー、きびしいすね。なんなんすかね。
こう、犯されることに焦点が当たるでもなく、つまり性的な部分にフィーチャーするわけでもなく、ひたすらに虐待をされる小説。
そういう意味では、姫野カオルコ「彼女は頭が悪いから」に通ずるものがある。

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存在を矮小化して、取るに足らない存在だと決めつけて、虐げてもいい人間なのだという集団心理を描く点で。

が、それに至る心理描写に紙面の大半を費やした「彼女は頭が悪いから」に比べ、本作はひたすらに何の罪もない少女が虐待される様を読まされる。

背景がまじで何もないからただただ虐待行為の事実だけが陳列される。

なんなんだこれは。
何のために書かれた小説なんだ。
邪悪すぎる。実話?マジ?やば。
何を読まされている。
おれは何を読んだんだ。
これが小説か。何が小説だ。小説とは何だ。

加害者の属性

本作が性行為にフォーカスしてないのは、加害者が中年女と12歳そこらのクソガキだからだと思う。主犯が成人男性ならば初めからただ強姦されていたのだろう。そういう話にしかならなかっただろう。

主犯ルースが女性、それも旬を過ぎた中年女だったからこそ、どうやれば少女の心を完全に折って再起不能にできるかよくわかっていたのだ。
一応、女は弱い、利用される、彼女のためを思って、などと供述していたが、戯言の類いだと思う。
ただ、自分の若い時代に後悔があり、その華の時期をこれから迎える美少女が許せなかっただけなのだ。苦痛を与えることが快楽だったのだ。

一方、その息子たちもまた気味が悪い。
男というのは子供の頃からなんとなく女体が気になっている。それは性的ではあるが無邪気な興味だ。クレヨンしんちゃん的な。
それが邪悪な執着に変わるのは、性行為の概念を知った時だ。

その過渡期、12歳の少年たちが、14歳の美少女を前にした時、
彼らにとって逆らうなど思いもよらない大いなる存在である母親から、"""こいつは蔑ろにして良い存在だ"""とお墨付きをもらった時、
なり得る可能性を本作は描いている。

こういう思春期の境でエロガキからモンスターになってしまう様は伊岡瞬「代償」の達也を思い出すな。あれも気味が悪かった。
そういう感じ。

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エディという真の悪

中でもエディ、こいつはヤバい。
こいつだけは、格が違う。
ノリだとか、大人に許されたからだとか、そういうんじゃない。

自分の中に言い訳を持っていない。

他の加害者はやんわりとではあるがそれにいたる理由は示唆される。同情はできないものの、理解はできる。

エディというクソ馬鹿はあかん。
この状況にならなくとも、思いつきさえすればこいつは1人でもやっていただろうと、そう思わせる正真正銘の悪。サイコパス。猿。
生まれながらの捕食者。生きることは他者を傷つけることとイコール。

こいつが生き残ってる(らしい)のは本書で最も許せない点の1つ。

全員死んじゃえよ

で、よ。
直接加害行動をしていたカスどもはマジで全員死ねよって感じなんだけど、視点人物のデイヴィッド君も大概の食わせ者なんだよな。

淡い恋心を抱いたはずの少女が目の前で虐待されているのを、傍観している。手は出さないが、止めもしない。
12歳にして異常性癖拗らせすぎでは?

初めて見る女性の裸体への興味と、やはりこれは""正しくない""という二律背反。
正しくないとかの次元の話じゃねえけどな。
まじでよ。

切り口は違えど、本作は「車輪の下」とか「ライ麦畑〜」と同じ童貞小説の一角っぽいな。イカれ度合いが遥かに高いけど。

ストーリー上はデイヴィッド君は""善""の側で書かれてるけど、こいつもまあ救い用のない犯罪者だよ。
クソ人間しか出てこねえから相対的に善の側ってだけだよ。大いにゴミ人間だよ。

全員死んじまえよ。

俺たち全員デイヴィッド

しかしこの小説を読み進める限り、我々も彼と同じ穴のムジナである。
本書から目を背けるよりも、興味が勝ってしまってるのだから。

安全圏から人の不幸を眺めるのは、最高の娯楽だから。

ラストページをめくった時、俺たちは全員デイヴィッドだ。


まとめ

なんともクソ最悪な読書体験だった。
得るものがねえ。教訓もねえ。
ひたすらに胸糞悪い虐待シーンが続くだけ。
決して他人に勧められるような本じゃない。
職場の女性に勧めたら懲戒まである。

なのになぜ読む手が止まらないのか。

得るものがねえっつうのは、要するに心理描写が無いから。別に得るものがねえ読書がダメってわけじゃない。けど、こういうのって双方がそうなった過程が描かれることでやるせ無さや虚しさが印象付けられるもんだと思ってたのね。

本書は背景が描かれない分、加害者たちが不気味だった。非常に。これが理由のない悪か。
そのあたり、サスペンスでありホラーだなと。
わけがわからねえもんってマジで怖えなと。
人間じゃねえ奴ってのはやっぱりいるんだなと。

そういう読書でした。

おわり。