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小倉広「自分でやった方が早い病」感想 若手マネージャー向けのチーム力向上手順書

自分でやった方が早い病 (星海社新書)

こんな人向けの本だよ。
・新任の管理職
・管理職を目指す若手
・要領の悪い人を見てるとイライラしてくる


やられた一冊


サウナ探偵です。

タイトル買いしたビジネス書「自分でやった方が早い病」をご紹介しよう。

要領の悪い人、思い通りに動かない人を見ていると、「あ〜もういい俺がやるから!」となること、無いだろうか。俺はある。

このタイトルに痛いところを突かれたと思う人も多いと思う。俺もその1人だ。まさに「やられた一冊」というわけである。

本書の主張

俺が読み取った本書の主張を以下に示す。

・自分でやった方が早い病にかかっている人は出世できない
・自分でやった方が早い病を克服するには利他主義となる必要がある
・利他主義は幸福であり、幸福の程度も高尚である


なお、筆者の意図と異なっていたとしてもそれは俺の読解力のせいであって筆者のせいでは無いことを断っておく。


本書のここが参考になった

まず、「自分でやった方が早い病」というワードセンスにハッとさせられた。
思い通りに動かない他人と、それを我慢できない自分の状態をピタリと言い当てる、シンプルにして必要十分な言葉。

次に、自分でやった方が早い病にかかっているビジネスパーソンは、””無根拠に自信がある””という点も非常に耳が痛い話だった。

本書はビジネスシーンでの話に終始する。だが、この病の本質はビジネスに限るものではなく、人間生活全般に当てはまることだろう。無根拠に自信満々なのは自己評価と他者からの評価がズレている状態であり、当然よろしくない。
謙虚に生きねばなるまい。

自分でやった方が早い病への対処法の章についても大変参考になった。自分はまだ管理職の立場では無いが、また数年後に読み返してみたくなる内容だった。心に留めておきたい。
管理職になったばかりの人には痒いところに手が届く的な一冊だろう。

新しい本ではないが、世の中の状況に左右されるような内容ではないので一読をお勧めする。

自分でやった方が早い病 (星海社新書)

自分でやった方が早い病 (星海社新書)

  • 作者:小倉 広
  • 発売日: 2012/05/25
  • メディア: 新書


この点は賛同しかねる

結論の導き方に非常に違和感を感じた。
内容の方向性は概ね正しいと思うし同意見だ。自分でやった方が早い病は克服した方がいい。
しかしその結論を導くための論拠が薄く納得感がない。「こうした方がいい」理由が「だってその方がいいからね」とか「その方が幸せだからね」みたいな感じで宗教じみている。

最終的に、「生き方に繋がらない学問は一切無駄」とか徳が云々言い出したのでお察し。 この人は社会科学信者で、自然科学(=生き方に繋がらない学問)は蔑ろにしてるのかなあと思った。

俺は個人的には、論理的な話は自然科学を抜きには語れないと考えているので、この考え方には全く相容れないものがあった。

いいことが書かれていて、結論には同意見なのだが、考え方や論調には全く賛同できないというなんとも不思議な気分になる一冊だった。

内容の妥当性をきちんと判断し、有益な情報を選べる人には良書である反面、全てを鵜呑みにするタイプの人には悪書になりかねないと感じた。


おわり。


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