戦争反対
とは言わないけど俺とは無関係のところでやってくれ。
あの傑作ビジネスストーリーの続編
どうもサウナ探偵です。
先日、世界的名著「ザ・ゴール」を紹介させていただいた。
工場の経営状況の建て直しを通して製造業の改善を面白いほど教えてくれる一冊だ。
実は「ザ・ゴール」には続編がある。タイトルはズバリ「ザ・ゴール2」。まんまじゃん！
ちなみに原題は”It’s Not Luck”、意味は「それは運じゃない」。カッケ〜！
- 作者:エリヤフ・ゴールドラット
- 発売日: 2002/02/23
- メディア: 単行本（ソフトカバー）
今回も大変なことに
主人公は前作から10年後のアレックス。工場再建が評価され大出世している。
が、担当する事業部の業績悪化により、面倒を見ている子会社の売却が株主総会で決まってしまう。
今回のアレックスの使命は子会社の経営を改善して市場価値を高め、売却価格を最大化することだ。
テーマは「コンフリクトの解消」
本作の主題は「コンフリクト（＝対立）」の解消だ。
例えば、作中では下記の状況が発生する。
・息子は父の車を借りたい
・父親は息子に車を貸したくない
この状況を、双方が100%望む形で解決することはできない。論理的に不可能である。
このコンフリクトを解消し、双方が納得できる第3の答えを導くことが本作の目的であり、人類の目的である。
これは、ジェレミ・ベンサムの説いた功利主義、最大多数の最大幸福を、実際にどのように実現するかという提案に他ならない。
具体的な手法としては、トヨタ生産方式の「なぜなぜ分析」のような原因追求を行なっていく。望ましくない事象AとBを定義し、互いに対立する事象となるまでそれぞれ深追いするのだ。
なぜなぜ分析 - Wikipedia
実はここでいうコンフリクトはこの原因追求の産物として提示されるものである。
このコンフリクトを明らかにしたのち、妥協点を見つける作業はまた別の過程を経るのだが、それは実際に「ザ・ゴール2」を手にして確認して頂きたい。
前作以上に実用的
前作は製造業にスポットを当てていたが、本作はこの世に存在する全ての「問題」に適用可能だ。
本当は前作も製造業を例に取っているだけであらゆる事象に適用可能だが、続編はより応用への敷居が低い。
作中で取り扱われる事例も以下のように様々だ。
・化粧品会社の商品提供方法
・ボイラー会社のソリューション提案方式
・息子に車を貸す貸さない
・娘のパーティーへの参加を何時まで許すか
前作で製造業のみに特化していた説明が、本作ではソリューションの提供に及んでいる。作中にはIT企業は出てこないが、これはシステムインテグレータ（SIer）のビジネスそのものだ。
製造業の使命はモノを売ることでなく、モノによって問題を解決することだ。というのは現在では当たり前の考え方だが、当時はセンセーショナルだったのだろうか？
さらに本作では会社経営にとどまらず、家庭内のコンフリクトの解決にも及び、多くの人にとってすぐにでも実践可能な点がいい。身近な例があれば理解しやすく、やってみる気にもなる。
さらに敷居の低い漫画版
- 作者:エリヤフ・ゴールドラット
- 発売日: 2016/03/18
- メディア: 単行本（ソフトカバー）
世の中の争いがなくなるソリューション
この本の内容を世界中の人間が実践すれば、世の中から争いがなくなるのではないかと、一瞬だけ思う。多分なくなんないけど。
あくまで妥協点が存在する場合に適用可能な手法だと思う。どっちかが死ぬ、みたいなコンフリクトは妥協点が無いので解決は難しい。
だが日本で普通に生きている限りは多くの問題は「ザ・ゴール2」の手法を適用することで妥協点を見つけることが出来るのではないだろうか。
世の中のすべての争いを解決することはできないが、個人間の小問題は解決できる。もちろん根本原因の特定に至ったところで対処が不可能な場合もある。しかし何も分からないよりは納得がいくというものだ。
とはいえ全く譲る気がない人との対話はどんなにセンセーショナルな手法をもってしても無理だ。大前提として事象をニュートラルに客観視出来る人が相手である必要がある。悩みどころだ。
結局この世は声がデカくて聞き分けのない奴が周りの反感を買いつつも欲しい結果を得られるようになっている。
それは、余談だけど。
まとめ
世界的ベストセラービジネス小説「ザゴール」の続編、「ザゴール2」を紹介させてもらった。
前作同様、ビジネスや家庭で生じる問題をチュートリアルのように教えてくれる小説だ。そしてお話自体がメチャクチャおもしろい。
おもしろい上にためになるから、優勝。
- 発売日: 2013/07/08
- メディア: Kindle版
おわり。
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