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【イノセント・デイズ/早見和真】感想 周囲の人間から語られる女死刑囚の半生 妻夫木聡主演でドラマ化もされた傑作

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オタクには「CLANNADは人生」という言葉がある。
そして我々読書民にも新たな言葉が誕生した。

「イノセントデイズは人生」だ。



いやまじでバチクソに面白かったからみんな読んで。はやく本屋に行け。


※CLANNAD ゲーム会社key原作の、家族の絆を題材とした恋愛ゲーム、アニメ



あらすじ


田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪により、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人など彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がるマスコミ報道の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士は再審を求めて奔走するが、彼女は……筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。
引用元 : 新潮文庫裏表紙




著者


早見和真 - Wikipedia

著者は早見和真氏。
調べて驚いたのが、この人別にミステリ作家でもないし、本作のような社会派作品を専門に書いているわけでもないらしいということ。
本作で第68回日本推理作家協会賞を受賞。


他者から語られる田中幸乃という人間


本作は、凶悪放火犯として死刑判決を受けた田中幸乃の生い立ちを、その時その時に深く関わった人物の視点から描く作りになっている。各章のタイトルは判決理由になっていて、それぞれ実際のところどうだったのよ!ってとこを描く。

例えば第一章「覚悟のない十七歳の母のもとー」では、実際には母のヒカルがどれほどの覚悟のもと、幸乃を産んだのかが描かれる。

父親からの暴力、中学時代の強盗致死事件、何の罪もない被害者遺族、計画的な犯行…。章を進めるごとに読み初めの印象から変わっていく事件の背景、そして田中幸乃から目が離せない。


メディアによって作り上げられる凶悪犯像



「なんか、いかにもだよね」

田中幸乃の生い立ちを居酒屋のテレビで見た男のセリフである。メディアにすぐに刷り込まれるのは日本人の悪い癖だ。

メディアで語られる凶悪犯の生い立ちと、実際との対比。湊かなえ「白雪姫殺人事件」を彷彿とさせるが、悲壮感はこちらが上。

田中幸乃は、誰かに必要とされ、幸せになりたかっただけの少女だった。


彼女は本当は何をしたかったのか



凶悪犯 田中幸乃の目的は、「死ぬこと」

なぜ死にたいと思うに至ったのか、そのために凶悪犯罪を犯すに至ったのか?読み進めるごとに、その真相が解き明かされていく。

死刑囚自身が死を望んでる一方で、周囲の人間が再審請求に奔走するという構図が、複雑な気分にさせる。

この結末がハッピーエンドなのか、バッドエンドなのか、可哀想と思うのが正しいか、おめでとうと祝福するのが正しいか。

是非読んでみて自分なりの答えを見つけて欲しい。

色んな人の意見を聞いてみたい。




妻夫木聡主演でドラマ化も


本作、妻夫木聡主演で映画化されている。しかも妻夫木自身が企画とのこと。
一度はポシャった映像化の企画を、ぜひ自分にと原作ファンの妻夫木が手をあげたらしい。

詳しくはこの記事にかいてあった。
ddnavi.com


いい小説はやはり映像化される。
まだ見てないけど近いうちに見ようかな。


まとめ


「イノセント・デイズ」はとにかく人を複雑な気持ちにさせるが、ページをめくる手が止まらない作品だった。
誰にも悪意は無かったのに、全員が不幸になり、全員が後悔を抱えている。

もしかしたら、この作品で1番報われたのは、死刑囚 田中幸乃自身だったのかもしれない。

両手放しで面白かった!と言える作品ではないけれど、とても深みのある作品。大切な作品に出会えた、という気持ちになる。 
読書の秋、本作を読んで死刑や死生観について考えてみるのもいい。


「イノセント・デイズ」がオススメの人


・いつもと違った切り口の社会派ミステリーを読みたい
・テレビで凶悪犯のニュースを見て、「さっさと死刑にしろ!」と思う
・13階段+白雪姫殺人事件+永遠の出口


おわり。

イノセント・デイズ (新潮文庫)

イノセント・デイズ (新潮文庫)

  • 作者:早見 和真
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/03/01
  • メディア: 文庫

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