鈴と小鳥とそれから私とサウナ

「森の魔獣に花束を」感想 単巻ラノベの名作を読む ノスタルジックファンタジックボーイミーツガール

森の魔獣に花束を (ガガガ文庫)

単巻ラノベ放浪記

単巻ラノベ放浪記 第X弾。

サウナ探偵です。
単巻ラノベを巡って旅をしています。

名作中の名作と呼び声の高い「森の魔獣に花束を」を読んだぞい。

あ〜いいっすね〜これ〜って感じの秀作だった。劇的に面白いとかはないけど特に不満もないというか、綺麗なお話。おとぎ話のような。
万人におすすめできるヤツかも。

剣と魔法と魔獣の世界

舞台は剣と魔法の世界。
っつってもバリバリのファンタジーって感じではない。多分あくまでヒロインを人外にするための舞台装置。だと思う。

魔王を倒すでもなく、剣術を極めるでもなく。
じゃあ何が起こんの?っていうと、主人公の少年、いきなり魔獣の森にほっぽり出される。

少年は良家の子息なんだけど、内気で政治よりも絵が好きなばっかりに親から完全に見放されてる。あーダメ、コイツ使いモンにならんわって。

それで「当主を継ぐための試練、開催です!青い薔薇、取ってきてね!」ってなもんで、結局森に置き去りにされて厄介払いさせられたんだな。マジでクズ野郎しか出てこねえよ。

そこで出会う魔獣の少女。頭に花を咲かせた見た目は可憐な少女。
いきなりツルを伸ばして少年を捕まえて、食べようとする。こわe。

なんでもするから許して!っつって花の絵を描いてあげたら興味津々。食うのやめっぴ。でも町には返さないよ。アンタは私のモン。っつって。それもまあ、アリだよね。

人と魔獣の成長する過程を描く

「絵って何?」
「歌ってなに?」
「名前ってなに?」

魔獣の少女から発せられる疑問符。
森に住み、人間は捕食対象だった異形の少女はさまざまな概念を知らない。
ってかなんで言葉は通じんの?というのは当たり前の疑問かもしれないけど、それは言わんでおいてくれ。野暮ってモンだよ。

人間=食べ物 の認識だった魔獣少女は少年の一挙手一投足に興味関心が絶えない。人間の少年は捕食の対象から、大切な存在に変わっていく。

一方、他人と深い関わりを持たず心を閉ざした繊細な少年も、魔獣少女の無邪気さに心を開いていく。

そこが1番の見どころやね。人間と魔獣が関わることで、お互いに全く自分になかった感覚を共有し、受け入れていく。コペルニクス的転回やね。パラダイムシフトやね。

一巻完結なのでこのあたりはテンポよく駆け足で語られるのだけど、なんとも心地よい読み味なんだよなあ。
うまくまとまってる。

六足火熊とのバトルはアツかったやね。てか六足火熊って何。昆虫かよ。

ラストは作者の性癖

で、最終的になんやかんやあって魔獣の少女を守るために大怪我をする主人公、脚を失うほどの重傷を追っちまう。
少年が気を失ってるうちに、どうしても少年に死なれたくない魔獣少女は""ある方法""で少年の命を助けるんだけど、いやーアレが伏線だったとはね。

全編通してファンタジック王道ボーイミーツガールの空気感を漂わせておいて、最後の最後でとんでもない性癖をぶっ込んでくれたなオイという感じ。これ絶対作者の趣味でしょ。
やっぱりガガガ文庫、一筋縄じゃいかねえな。

そしてエピローグの爽やかさよ。ハッピーエンドでよかったよ。まじで。

まとめ

「森の魔獣に花束を」を読んでみた。
各所でオススメなだけはある一冊。ラストの性癖全開な展開にはニヤついてしまったけど、基本的には王道ボーイミーツガールなので、万人にオススメできる一冊だと思う。

頭使わず気軽にファンタジックでノスタルジックな気分に浸りたい時にぜひどうぞ。

おわり。

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