面白すぎて脱糞した。
・ゴジラ大好き
・ガメラ(平成トリロジー)大好き
・生物学専攻
怪獣造形への圧倒的な愛
サウナ探偵です。
俺、ガメラ大好きなんだよね。平成3部作ね。Blu-ray BOXも持ってる。北米版だけど。
なにより超古代文明の生物兵器という設定がいい。生物学の徒ならば作中の「ギャオスのゲノムは完全無欠の一対」という設定にロマンを感じたに違いない。
「進化の結果でなく、初めからこの形で存在していたとしか思えません。」
シビれるね。無駄のないゲノム。美しいね。
そんな怪獣好き、かつ生物学(遺伝子工学)専攻の俺としては「は?俺のための本かよ」と思わざるを得ないタイトル「怪獣生物学入門」。手に取らずにはいられない。
怪獣生物学入門(インターナショナル新書) (集英社インターナショナル)
- 作者:倉谷滋
- 発売日: 2019/12/20
- メディア: Kindle版
こんな本だよ
本書における筆者の主張は以下のようなものである。
・SFとしての怪獣造形は進化生物学的に理にかなっているべきである
・怪獣形態の進化も要不要論で語るわけにはいかない
・ボディプランという概念をベースに怪獣の出自を考えることができる
このあたりかなあ。う〜ん、うまくまとめられない…。
まあタイトル通り「怪獣生物学入門」なので特にこれといった主題があるわけではないよね。概論だよね。
好き勝手に書きたいことを書きまくってる感が否めないが、別に悪いことじゃない。一個一個が面白ければオールオッケー。
別に役に立つ本ではないけど、しかしこういった専門家による大真面目な遊び心は絶対に面白い。というか個人的に大好き。
漫然と映画を見ていたら絶対に見逃してしまう重箱の隅をつつくような指摘には「うわっめんどくせえな!」と思いながらも内容の面白さにニヤリとしてしまう。
個々の怪獣に関する、バカバカしいと断じられても仕方ないような詳細な生物学的考察を読んでいると、「あれ、この怪獣って本当にいるんだっけ?実在の生物の話?」という気分になってくるのでおもしろい。
一気読みするようなタイプの本ではなく、少しずつ各章読み進め、バカバカしい思考を大真面目に深め、淫する楽しみを味わう1冊だ。
なお、筆者の意図と異なっていたとしてもそれは俺の読解力のせいであって筆者のせいでは無いことを断っておく。
本書のここが参考になった
特に第3章 「進化形態学的怪獣学概論」がメチャクチャおもしろかった。
ゴジラガメラウルトラ怪獣にそこまでこだわりのない人はこの3章だけでも読んでみてほしい。
題材は怪獣だけど、中身は大真面目な進化生物学だ。大真面目な進化生物学がなんなのか俺は知らねえけど。怪獣を例に取ることでわかりやすく、敷居が低くなっているのがいい。
4章の「マタンゴ」と漫画「寄生獣」の話もよかったなあ。知る人ぞ知るカタツムリの寄生虫、ロイコクロリディウムを引き合いに出して、「寄生生物の宿主操作は意図的なものではない。」と説明するところはすごくわかりやすかった。ロイコクロリディウムは知らない人は絶対に検索してはならない。ミギーとレギオンの対比とかね。
天使の囀り/貴志祐介とかも思い出すなあ。
www.sauna-detective.com
それにしても各項のタイトルが面白い。
なんなんだよ「パラサイトのアイデンティティ」って。「マタンゴになること」じゃねえんだよ。「マタンゴ人間の行動学」ってそんな学問はねえよ!
最高だ。
そして怪獣に飽き足らずまどマギやらエヴァンゲリオンを引き合いに出すあたりこの人めちゃくちゃオタクだなあ。とてもいいオタク。
ウルトラマン第12話のミイラ男にトラウマを植え付けられるというのはみんなが通る道なんだなあ。俺も見た日は怖くて眠れなかった記憶があるよ。ドドンゴの声がモスラと同じとかね。マニアックな話やね。
そこはどうなん??
「ゴジラは自重を保てず崩壊するので存在できない」はゴジラが存在しない理由にならない、ときう主張には眉ツバであった。
その心は「ゴジラが自重で崩壊するので存在できないという命題は、ゴジラが目の前で崩壊して初めて真となるから」ということらしい。ほんとか?
さらにはゴジラが存在しないならばゴジラの崩壊を確認できないから、これは親殺しのパラドックスと同じだと言うのである。全く納得できねえ。煙に巻かれた感がすごい。
おそらく俺の読解力もとい感性が足りないせいで真意を汲み取れないせいなのだろうが、どうにも納得がいかない。ナンセンスに感じてしまう。
もしかしたら言葉尻の問題だろうか?「存在しない理由」ではなく「存在し得ない理由」ならば意味合いが大きく変わる。
が、これに端を発して続く””まともな怪獣生物学論””はメチャクチャ面白いのでぜひ読み込んでみてほしい。動物のサイズが如何にして決定されているかについての考察で、怪獣が存在しない理由がよくわかる。
理解した部分、理解が追いつかない部分、同意しかねる部分、全部ひっくるめてちょっとこれは何度も読み返したい一冊ですね…。
あと、個人的にはガメラの話をもっと読みたい。ガメラがいっちゃん好きだから。
おわり。
怪獣生物学入門(インターナショナル新書) (集英社インターナショナル)
- 作者:倉谷滋
- 発売日: 2019/12/20
- メディア: Kindle版
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