つらみで死んだ
ども、サウナ探偵す。
「三日間の幸福」by三秋縋 を読んだ。軽い気持ちで。
しんだ。
重すぎんだろ…。
これ読む人が読んだら最悪死ぬぞ…。
あらすじ
金に困った大学生クスノキは、寿命を買い取ってくれる店の噂を聞く。自らを査定してもらうと、余命が30年であること、余命の"価値"が1年あたり1万円でしかない(つまり今後何一つ良いことがない)ことがわかる。結果に呆然とし、彼は3ヶ月を残して全て売ることにした。
監視員のミヤギに見張られながら、人生の終わりに向けて日々を過ごしていくクスノキ。
死ぬとわかると急に寂しくなり、過去に関わった人々に連絡をとりはじめるが…。
という話。
絶望感がハンパ無い
絶望感がすげえの。
よくもここまで踏んだり蹴ったりな人生を考えたもんだ。
目も当てられないほどの悲惨。
でもそれを回避したんだな。寿命を全部売っちまったから。余命は3ヶ月。
でもその余生をスタートして初っ端から絶望の上塗りがハンパ無い。
とにかく全員から裏切られる。
将来を約束した幼馴染、数ヶ月前にいい感じになった後輩女子、高校時代で唯一の理解者と思っていた友人、全てに裏切られる。
彼らに再会して関係が全部ぶっ壊れてからミヤギが教えてくれる。「答え合わせといきましょう」
あり得た可能性と、どうにもならなかった筋書きが明かされる。
このどん底感がとにかくヤバい。落ち込んでる人は読まない方がいい。
最悪死ぬ。
まじで耳が痛い
こうして全員から裏切られることには、理由があった。
それは、クスノキが「誰とも向き合っていない」こと。
自分からは誰にも連絡を取らないし、他者を理解する努力もしてない。
無自覚ではあるが、自分を守りたい、自分を認めてほしい、といった自分本位で他力本願な、幼稚な欲求があるのみ。
だから人と表面的な付き合いしかできないし、誰とも分かり合ってない。
心当たりがありすぎる。
筆不精なんて言うけどね、結局他人に興味がないだけなんすよ…。それでいて認めてはもらいたい。勝手だよね。
耳が痛い、いや、目が痛いですね…。
他人に興味が持てるってのはある種の才能だと思う。
必然的なラスト
積極的に人と関わることを避けてきたクスノキだからこそ、ミヤギとの交流はより異質となる。つまり、望まずとも深く関わらざるを得ないという状況。
常に近くに""居ざるをえない""ミヤギとの交流は、ともすれば「初めての」他者との本気のコミュニケーションだったのかもしれない。
もう死ぬことがわかっているからこそ、利害が介在しない関係となって初めて、本当に自分をさらけ出すことができたのだろう。
そんでタイトル「三日間の幸福」がはじまるっつーわけだな。
どういうことかは読んで確認してくれ。
まとめ
「三日間の幸福」by三秋縋 を軽い気持ちで読んでみたら絶望のごった煮だった。
ぐちゃぐちゃに絶望を振り撒いといて、ラストには希望を見せる。でも完全なハッピーエンドじゃない。ほろ苦さと爽やかさの共存。
こう、ライト文芸レーベルながら真に迫る作品って最近すごく好きでね。小難しさは取っ払った上で本質に踏み込むと言いますか。
好きですねェ。他のもこういう作風ならいいなあ。
おわり。
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